平成27年度税制改正において領収書等の「スキャナ保存制度」は、対象範囲が拡大され、厳しかった金額要件等が大幅に緩和されました。平成28年度税制改正では要件がさらに緩和され、デジカメ・スマホ等での撮影についても認められることになり、比較的簡単に実施することができるようになりました。
要件を把握してスキャナ保存制度を活用しましょう
所得税法、法人税法など各税法の規定により、国税関係書類(決算書、領収書、請求書、契約書など)は原則「紙」による保存が義務付けられていますが、一定要件を満たすことで、スキャンによる電子データでの保存が認められています(※国税関係書類のうち、貸借対照表・損益計算書・在庫表などの決算関係書類は対象外です)。まず、電子データで保存する場合は、対象書類や利用システム等について事前に本店所在地の所轄税務署長へ申請し、承認を受ける必要があります。
具体的な実務の流れについて見ていきます。なお、以下は平成28年9月30日以後の承認申請対応分についての説明です。
(1)領収書等を受領した従業員がスキャンする領収書等に署名を行う(使いまわしや不正を防止するため)。
(2)領収書等を受領した従業員がスキャナやデジカメ、スマホなどでスキャンして社内パソコンやクラウド等に転送する。
(3)領収書等を受領した従業員が領収書等を受領後、特に速やか(3日以内)にタイムスタンプを付す。※スマホ等以外の場合は、従来の要件(1週間または1ヵ月以内)
(4)経理担当者等が内容を確認する(原則、原本確認は不要)。
(5)第三者(上記の従業員、経理担当者以外の者)が事後検査後、原本廃棄可能。なお、小規模事業者の特例により、第三者が税理士等である
場合に限り、(4)の経理担当者等による内容確認が不要。
(6)記録する書類サイズがA4以下の場合は、大きさに関する情報の保存が不要。
今後も「スキャナ保存制度」の要件は緩和されると予測されます。詳細は専門家にお問い合わせください。
引用元:国税庁HP「電子帳簿保存法Q&A(平成28年9月30日以後の承認申請対応分)」